1日目(続き)

2001年7月15日
(日記の字数制限のため、今日はまだ14日 昨日続き)

4合目辺りを過ぎると道の角度は急になる。
少し息が上がる。

眺めの良い5合目で休憩をとる。
朝はけっこう晴れていたが、雲が出始めている。
それでも甲斐駒の頭がかすかに見えた。
仙丈ケ岳と甲斐駒は隣り合っているので、
晴れてさえいれば、登っている時は常に互いの山が見えるはずなのだ。
雲の様子が心配だ。
山頂まで空がもってくれるかどうか…。

登り始めて1時間半ほどすると、
頭上の木々の間から見える空が大きくなり、
しばらくして、ぽっと森林限界を超える。
ここを越えると、木は地をはい始める。
周り中ハイマツだらけだ。

高山植物の数も増えだす。
先生が花の名前にかなり詳しいので(記憶力の減退は否めないが)、
見つける度に教えてくれる。
山の上は小さい花が多い。
何となく、可憐な感じだ。
Yさんは女の子なので、花にもけっこう興味があるのか、
きちんと名前を覚えていく。
僕とTは聞いてもすぐ忘れてしまうのに…。

ここから、小仙丈ケ岳というピークまでは、
けっこう急な上りがずっと続く。
周りを囲む樹林がなく、かなり上のピークが見えているので、
これをのぼりきるのか、という気分になる。
精神的にはちょっとつらい。
それでも、まぁ、じわじわっと上っていく。

この頃になって、雲が周りを覆いだす。
あたり一面、白一色だ。
景色なんて見えやしない。
くそっ。

なんとか、小仙丈ケ岳に到着。
ここで昼食をとる。
ここにきて始めて、目指す仙丈ケ岳山頂の姿が、
どーんと僕たちの前に聳え立つ。
かなり近い。
多少雲がかぶっているとはいえ、正面に北岳も見える。
甲斐駒はすでに雲がかぶっていて何も見えない。
残念だ。

小仙丈からの道は仙丈の山頂を正面に見ながら、少し下る。
仙丈の山頂の姿は美しい。
山頂のすぐ下は、大昔氷河が削ったという、
手前側のかけたお椀の形のカールになっている。
地肌には様々な濃さの緑がグラデーションをかけている。
その緑と所々に見える、岩肌の色、
そしてわずかに残っている雪の白い色の対比が見事だ。
なにより、スケールがでかい。
僕たちの歩く道のすぐ左手から、ぐわっと下に落ち込み、
そのまま曲線を描きながら、ぐわっと山頂に上り詰める。
すごい迫力だ。
おもわず、ぼーっと見とれてしまう。
このまま立ち止まっていたい気分だが、とりあえず、山頂に急ぐ。

道はいよいよ、最後の上りに入る。
そろそろ酸素の薄さを何となくだが、意識し始める頃だ。
呼吸が苦しくなっていく気がする。
先ほどの車酔いの影響もあって、少し気分も悪い。
今日の体調はあまり良くないようだ。
別にそんなにやばいと言うわけではなく、
登山には影響はない程度なのだが、
登るときはたいていハイテンションな僕だけに、
元気がないのを先生に指摘される。
続いて、1年生のYさんにも『大丈夫ですか?』と声をかけられる。
…情けない。

Yさんのたくましさには驚かされる。
まだ1年生で女の子。
そろそろへばって当然だと思うが、
先生の少々速いペースに顔色一つ変えずに、
しっかりと付いてくる。
控えめだが、表情からは余裕すら感じられる。
脚力はもちろん、精神力も相当のものだ。
うーむ、ナカナカヤルナァ。
さすがこのパーティー唯一の運動部経験者だ
(彼女は元中でソフトボール部員)。

で、まぁ、なんとか、仙丈ケ岳山頂に到着。
海抜3033m。
すごいところにきてしまったものだ。
かなりの達成感を味わう。

周り中、雲だらけで、何も見えない。
山頂からの甲斐駒をかなり楽しみにしていたので、
ちょっと悔しい。

20分ほど休んで、山を下る。
途中、山頂のすぐ下にある、仙丈小屋で水を飲む。
ここの水場は、ここから流れ出る沢の水源地なわけで、
水はとてもキレイだ。
Tの話なので真偽の程は少々怪しいが、
ここは日本で一番高い水場になるとかならないとか。
とりあえず、これだけ高いところで、きれいな水にありつけるのは
とてもめずらしい。
水のおいしさにひたすら感動。
これだけおいしい水を飲んだのは久しぶりな気がする。

ここからあとはひたすら下るのみ。
途中、雪渓というものを初めて見た。
沢の上を覆った雪が未だにとけずに残っているのだ。
雪渓の上を横切るのには注意が必要。
滑ると、下まで一気に滑り落ちてしまうからだ。
アイゼンという道具があれば楽ちんらしいのだが、
先生以外、そんな道具は持っていないので、慎重に渡る。
幸い、そんなに大きな雪渓はなかったので、
難なく、下りることができた。

下りの道は、岩でごつごつしていたり、角度が急だったりすると、
膝にかかる負担がおおきくなり、かなりきついのだが、
この山は割と歩きやすい道で、楽だ。
先生もかなりのハイペースで下っていく。

5時半、無事に下山終了。
最初、かなり出発が遅れた割には、
予定どおりに下りてくることができた。
我ながら良く歩いたものだ。


夕飯はカレー。
Yさんもいたので、なかなか上手くできた。
山で食べる食事は美味い。
なんとなく、幸せをかみ締める。
すぐに暗くなるので、急いで食べた。

疲れを取るために、念入りに足をマッサージし、
8時ごろ、テントにて就寝。

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