思い出

2001年7月5日
地元の図書館で、元中の友達に会った。
向こうは気付かなかったけど。

彼とは昔、一緒に、
喉を鳴らす音で心臓の鼓動を表現する方法を考え出した仲だ。
要するにそんな奴。

で、ふと、思い出してしまいました。

確か、中2くらいのとき。
彼が、何かで指を強くはさんだことがあった。
そのときは指先は爪の下で内出血でもしてるのか、
青みがかっていたんだけど、
日が経つにつれて、だんだん指先の色がどす黒くなってしまい、
爪の方から腐ってきているようにさえ見えてきた。
…日に日に悪化していく指先はかなりグロテスクでした。

で、しかも、ここが彼のすごいところなんだけど、
その腐った指先を、彼は自ら掘りだした…!!

掘るっていうか、要するに爪先に穴を開けだしたんだけど。

腐っているから、肉と爪が剥がれやすくなってるとか言って。

僕『痛くないの?』
彼『痛いけど止められないんだ。』
病み付きになってしまったらしい。

そんなわけで、だんだん彼の指先の穴は広がっていく。


ところがある日、『今日はどう?』ってんで、
指先を見せてもらったら、
爪の下に、新たな爪が!!

なんと、剥がした肉の下に、確かに固い層がある!!

え!?

えっ?えっ?

まだ弱々しい、うっすらとしたものでしかなかったけど、
確かに、それは爪だった。

その瞬間、僕たちはある種の感動に包まれた。

彼の肉体がいま、ここに再生しようとしている。
あぁ、なんという力強さ。
なんという不屈の精神。
こんなにも厳しい状況の下で、
ひっそりと、しかし確実に生を刻んでいる。
踏まれても、はさまれても、雑草のようによみがえり、
したたかに生きて行くこの肉体。
僕たちは生命の尊さをひしひしと感じた。

『生きてるって素晴らしい!!』


そんなわけで、彼は、僕の中では
『爪の下にはもう一つの爪が隠されている』という事実を
発見した人になっているのだった。


今から思えば、変な奴だ。

でも、そんな彼も、小学生の頃は、
語尾に必ず、『〜だぜ、ベイビー。』とつけることを忘れない、
あどけない少年だったのだった。

…なんか違う。

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